20年のキャリアを活かした新たな挑戦〜患者さんに寄り添う看護を目指して|多摩センター訪問看護

20年間、病院で患者さんと向き合ってきたベテラン看護師が、夫婦で新たな挑戦を始めました。その舞台は、患者さんの生活の場に寄り添う訪問看護の世界。
精神科から急性期まで、幅広い経験を持つ彼女が、なぜこの道を選んだのか。豊富な知識と温かな笑顔で、一人ひとりの患者さんに寄り添う彼女が歩んできたプロセスについてお聞きしました。

訪問看護事業立ち上げの経緯〜看護師になったきっかけ

ーーまずは訪問看護事業所を立ち上げた経緯をお聞かせください

野村 磨理子様(以下、野村):きっかけは2つあります。1つは、キュアがメインの現場よりも、ゆったりとした時間の中で患者さんのペースに合わせたケアを大事にしたいと思ったからです。精神科・療養型の経験も長かったので、ゆったりしている方が私には合っていると思っていました。たくさん勉強したので、知識や技術を活かせる職場を探していたら、訪問看護が選択肢として上がりました。

もう1つは、家族との時間を増やしたいと思ったからです。転職を考えていた時期は息子が二人とも高校生で、長男は他県への進学を考えていました。次男は部活が忙しく、一緒に過ごせる時間がかなり減りました。「もう子育てが終わってしまう…」と思ったら急に寂しくなってしまって…。そこで夫婦で話し合い、シフト勤務で病院に所属するのではなく、ある程度自分たちで働き方を調整できる訪問看護をはじめようと決めました。

ーーそもそも看護師を目指したきっかけを教えてください

野村:子供の頃に喘息がひどくて、しょっちゅう病院へ通っていました。5歳くらいのころです。病院が当たり前にある身近な存在で「病院っていいな、看護師さんっていいな」って!それからもうずっと看護師になりたいって思っていました。

ーー高校も看護科へ進まれたのですね

野村:衛生看護科へ進みました。衛生看護科は、高校卒業と同時に准看護師の試験を受け、受かれば資格が取れるので、通常より1年早い20歳で正看護師として働けるようになります。県内に2つしかなかったので、県中から看護師になりたい高校生が集まっていました。

看護師としての成長

ーー実際に看護師として働き始めてみて、5歳の頃に憧れていた看護師さんとのギャップはありましたか?

野村:最初は精神科だったので、自分の受診や実習で見てきた綺麗な病院とは環境面で違う部分はありました(笑)でも新人の頃に、先輩から「看護師に向いているね」と言われてすごく嬉しかったことを覚えています。自分の働き方や患者さんとの関わりを見てくれていて、質問したい時も自分で調べてから先輩に聞いていたのがよかったのだと思っています。

ーー精神科病院から救急病院へ転職されました

野村:30歳手前で、大きい病院というか、一般病院で一度は働いてみたい…より幅広い経験を積みたいと思いました。はじめは消化器外科に配属されましたが、それまで精神科や療養型病棟で認知症や寝たきりの方の対応が中心だったので、一般病院のスピード感に慣れるのが大変でした。

看護師としての経験はあるけど、もうジャンルが違うというか…。3ヶ月くらいは指導者がついてくれましたけど、自分でもひたすら勉強しました。

ーー資格をたくさんお持ちですね

※野村さんは、看護師以外にもリンパドレナージセラピストやICLS、ストーマリハビリテーション受講など、専門性の高い資格をお持ちです。

野村:はい。資格をとることで、新しい知識やスキルが身につくだけでなく、現場ですぐに実践できて、スキルアップが実感できるのがよいですね。育児をしながらの挑戦でしたが、単純に楽しかったんです!おかげで、どのような状態の方でも、訪問看護で対応できるようになりました!!

ーー仕事・家事・育児をしながらの勉強は大変だったのでは?

野村:朝の時間を使って、5時ごろから勉強していました。朝食の準備をして、子供を送り出してからは仕事へ。夕食は比較的夫が作ってくれていました。土日も休みの時は勉強していましたね。夫の協力があったのは大きかったです。いろいろハプニングは起きましたけど、一緒に楽しみながら乗り越えられました。

精神科病院から救急病院への転職を経験し、子育てもしながら資格取得を進めた結果、専門外来も経験されることになります。勉強熱心で、さらに困難を楽しみながら乗り越えられる強さを感じました。

乗り越えてきた困難

ーーこれまでの看護師としての経験のなかで、これは大変だったというエピソードはありますか?

野村:子供が小さい時に、夫婦で夜勤が重なってしまったことがありました。私がもともと夜勤の日に、夫が緊急対応で呼ばれてしまって。お互い実家が遠くて頼れる人がいなくてどうしようかと…結局いとこに子供を見てもらいました。

別の時には、夫が職場に子供を連れていき、ナースステーションで子供を見てもらっていたこともありました…なつかしいです(笑)

ーーそれは本当に大変でしたね。業務の中で難しい対応を迫られたことは何かありますか?

野村:やっぱりコロナ禍の対応です。本当に、この20年間で一番きつかったですね。私が勤めていた病院は、地域のコロナ罹患者を受け入れる病院でした。毎日のように重症化した患者さんを受け入れ、防護服を着て…。患者さんはしんどいのに家族面会もさせられなくて…特に若い患者さんが人工呼吸器に繋がれている姿を見るのが本当に辛かったです。

ーーいま振り返っても、本当に大変時期だったのだと思います

野村:そうですね。でも、難しい状況でもベストを尽くす姿勢や、経験したことがないことでも、チームで協力して乗り越えるという経験は、今の訪問看護でも活きています。

患者さん一人一人に寄り添う看護

ーーこれまでの経験が全て訪問看護に繋がっているのですね

野村:はい。患者さん一人ひとりに合った看護をしたくて訪問看護を始めました。1件1件を大切にして、患者さんや家族の生活に寄り添った看護をしていきたいと思っています。

ーー地域のケアマネジャーさんや病院関係者、利用者の方へ伝えたいことはありますか

野村:どのような方でもお任せください!!

精神科病院での経験が利用者さんとのコミュニケーションの取り方に活きています。療養型病棟では高度な認知症や寝たきりの方の対応もしていました。転職や資格取得を通して、全身状態の観察やケアなど臨機応変に対応できます。

ケアマネジャーさんからでも、病院の退院支援の看護師さんからでも、地域のクリニックからでも、もちろん患者さん本人やご家族の方からでもいいです。スタッフと協力して、ご自宅での生活を一緒にサポートしますので、ぜひご相談ください。

ーー野村さんのこれまでの経験と、訪問看護を立ち上げるに至った熱い想いを聞かせていただきました。今日は誠にありがとうございました。

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tamakango